代表 Jack Norris 著

ヴィーガンの食生活による健康効果

ヴィーガンの食生活には、多くの健康効果が期待できます。

  • 高血圧になる危険性が3/4 -1/2低い (1, 2)
  • 二型糖尿病になる危険性が2/3低い (3, 15)
  • ガンになる可能性が15-20%低い (4, 5)
  • コレステロール値を大幅に下げる (6)

潜在的な健康の改善に加えて、動物と地球に利益をもたらすヴィーガンの食生活は、常に勝利であることを覚えておいてください。 私たちの友人Ginny Messina氏が、TheVeganRD.comで述べています-

「血圧やコレステロール値が下がったら、それは素晴らしいおまけのようなものです。しかし、より力が湧いてきたり、肌がきれいになったり、ウエストが細くなったりなどの期待した効果が得られなくても、ヴィーガンの食生活が「機能しない」ということにはなりません。動物の搾取への貢献を減らしたり、自身の気候変動への影響を減らすことができるヴィーガンの食生活は、常に機能しているからです。」

ヴィーガンの食生活にはこれだけ多くの利点があるため、より多くの人びとが菜食を選び始めていることは、なんら不思議ではありません。あなたがヴィーガンの食生活を始めるにあたって、力強くなるためのコツを紹介します。

カロリー、タンパク質、脂質

満足するためには、カロリーが高く、タンパク質を多く含む食品を食べることが大切です。

日本人の食生活から動物性食品を抜くと、野菜や果物、豆腐と、カロリーの低いものになりがちです。これらの食べ物ばかりを食べていると、空腹を感じたりエネルギー不足になり、ヴィーガンは非常に難しいと感じてしまうかもしれません。

極度のたんぱく質不足を心配する必要はありませんが、たんぱく質を多く含む植物性食品を摂取しないと、動物性食品を欲したり、疲れを感じることがあります。

マメ科植物 – 豆類、ピーナッツ、エンドウ豆、レンズ豆、大豆 – セイタンとキヌアは、ヴィーガンにとって最良のタンパク質源です。 毎日数食分これらの食品を摂取しましょう。

動物性食品、特に肉は「たんぱく質」だと考えている人が多くいますが、その多くは50%が脂肪です。低脂肪の植物性食品は、特にコレステロールの高い人において、短期的には健康改善が見られるでしょう。しかし、長い目で見ると理想的ではありません。脂肪を避けて動物性食品を欲するようになったら、植物性脂肪の量を増やすときかもしれません。

実際に研究では一貫して、高脂肪のナッツを食べることで心臓病マーカーを改善できると証明されています。 (7).

研究はまだ予備的なものですが、一部の人々は高炭水化物食でうまく機能する遺伝子を持っていないようです (8)。 そのような人にとっては、大豆肉、豆類、セイタンなどの植物性タンパク質を多く含むeco-Atkins diet (低炭水化物&ヴィーガン)の方が良い選択かもしれません (9)。

最後に、動物性食品を欲する場合は、うま味とも呼ばれるグルタミン酸の味を強く好むことが原因である可能性があります。 うま味の高い植物性食品は、完熟トマト、たまり醤油、味噌、ザワークラウト、干し野菜、マーマイト(酵母)、ニュートリショナルイースト、オリーブ、バルサミコ酢、キノコです。 焙煎、カラメル化、きつね色に焼く、グリルによって、タンパク質からグルタミン酸を引き離すことでうま味を高めることができます (10)。

シュウ酸塩を過剰摂取しない

一部の植物性食品はシュウ酸塩が多く、ほうれん草は非常に多く含まれます。 ほとんどのヴィーガンの人々では、シュウ酸塩は問題になりませんが、葉野菜を絞ったり混ぜたりする場合は、シュウ酸を多く含む葉野菜(ほうれん草、フダンソウ、ビートの若葉)を大量に使用しないようにしましょう。 腎臓結石になることもあります。

低コレステロール

まれに、コレステロールから作られる、十分な量のステロイドホルモンを生産するのに必要となる脂肪やカロリーの摂取が、不足しているヴィーガンの人もいます。

2つの研究では、ヴィーガンは肉食者と同等の性ホルモンを持っていることが示されていますが (11, 12)、ヴィーガンの女性はエストロゲンのレベルが低いことを示す研究も1つありました(13)。

低コレステロールが一部のヴィーガンの人々にとって問題となる可能性もあるという証拠を示す事例もあります。このような場合、ココナッツオイルを追加するなどして飽和脂肪を増やすと、性欲減退を回復したり、月経が再開したりすることがあります。

ビタミンとミネラル – 長期

数週間や数ヶ月ではビタミンやミネラル不足になることはあまりありませんが、長期的に健康を保つためには注意を払うべき栄養素があります。

ビタミンB12

ヴィーガンの食生活におけるビタミンB12は、論争や神話の種となっています(14)。すぐに起きることはめったにありませんが、ビタミンB12強化食品やサプリメントを摂取しなければ、徐々に健康面で苦しむことになる可能性が高いでしょう。

十分なビタミンB12を摂取するためのヴィーガンの3つの選択肢

カルシウム

ヴィーガン食におけるカルシウムの必要性は、牛乳を含む動物性タンパク質が西欧諸国の骨粗しょう症の主な原因であるという、多くのヴィーガン支持者による誤解を招く主張にも取り囲まれています。 この論理に従うと、動物性タンパク質を食べないので、ヴィーガンが骨粗しょう症を心配する必要はないということになります。

実際には、ヴィーガンの人々もヴィーガンではない人々と同様に、推奨される量のカルシウムを摂取すべきだという研究結果があります。ヴィーガンの食生活では、他の食生活よりもカルシウムがずっと少ないため、毎日十分な量を摂取するように努める必要があります。

Calcium meme

ビタミンD

疲労に苦しむヴィーガンの人々は、ビタミンDが不足していることが多くあります。これはヴィーガンに限った事ではなく、太陽を避けることでも、多くの人びとがビタミンD不足となっています。しかしヴィーガンの場合は食生活で摂取するビタミンDが通常よりも少ないため、わずかに不利です。信頼できるビタミンDの供給源を摂取するようにしましょう。
ビタミンD
ビタミンDの主なはたらきは、私たちの体内のカルシウムに関係しており、骨のために非常に重要です。
日焼けが可能な時季、時間帯に日焼け止めを塗らずに、以下の量の日光を浴びることが出来るのであれば、ビタミンDのサプリメントは必要ありません:
明るい肌:10-15分
浅黒い肌:20分
高齢者:30分

鉄分

鉄分はは幅広い植物性食品に含まれており、ヴィーガンは肉を食べる人に匹敵する量の鉄分を摂取する傾向にあります。

Iron meme

しかし、植物性の鉄分は、肉に含まれる鉄分よりも吸収率が良くないため、ごくわずかの女性はベジタリアンになると鉄欠乏性貧血になることがあります。

その危険性があると感じる場合は、食事の際にビタミンCの供給源を十分摂取するようにしてください。ビタミンCは鉄と結合して、より吸収されやすい複合体を作ります。 鉄分の吸収が低下するため、食事中のコーヒーやお茶は避けてください。

Vitamin C meme

ヨウ素

ヨウ素は甲状腺の健康にとって重要ですが、ほとんどのヴィーガンがめったに考慮しない栄養素です。ヨウ素含有量は土壌内の含有量によるものなので、植物性食品に一貫して含まれるわけではありません。多くの国の食糧供給において、従来ヨウ素が枯渇しており、ヨウ素添加塩強化プログラムによってそれらの国の多くでヨウ素欠乏症を解決しました。ヨウ素添加塩、マルチビタミン、ヨウ化カリウムを含むサプリメントのいずれかで、必ずヨウ素を摂取するようにしましょう。過剰摂取は有害になる可能性があるため、1日あたりの推奨許容量150 µg(マイクログラム)を超えないようにしてください。普段海藻を食べている場合はヨウ素サプリメントは必要ないかもしれませんが、海藻はヨウ素の変動が大きいため、ヨウ素を目的として食事に加えることはおすすめできません。

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は、心臓と脳の長期的な健康のために重要です。ヴィーガンの人々は、十分なオメガ3脂肪酸を摂取するようにしましょう。くるみやキャノーラ油、フラックスシード、DHAサプリメントが主な供給源です。

ビタミンA

ヴィーガンにとってのビタミンA供給源はたくさんあります。特にオレンジ色の野菜です。とはいえ、成り行きに任せることのないようにしましょう。下図にある選択肢から、毎日1-2種類摂取するようにしましょう。

Vitamin A meme

亜鉛

平均的なヴィーガン食は亜鉛の一日の推奨量を満たすか、それに近い量を摂取できますが、一部の人々は少し不足するかもしれません。 亜鉛欠乏症の症状には、頻繁に風邪をひいたり、口の角にひび割れができたりします。 欠乏が疑われる場合は、推奨量の50〜100%を補います。

Zinc meme

読んでいただき、ありがとうございました。あなたがヴィーガン食で力強くいられますように!

References

1. Fraser GE. Vegetarian diets: what do we know of their effects on common chronic diseases? Am J Clin Nutr. 2009 May;89(5):1607S-1612S. Epub 2009 Mar 25. Review. Erratum in: Am J Clin Nutr. 2009 Jul;90(1):248.

2.Appleby PN, Davey GK, Key TJ. Hypertension and blood pressure among meat eaters, fish eaters, vegetarians and vegans in EPIC-Oxford. Public Health Nutr. 2002 Oct;5(5):645-54.

3. Tonstad S, Stewart K, Oda K, Batech M, Herring RP, Fraser GE. Vegetarian diets and incidence of diabetes in the Adventist Health Study-2. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2013 Apr;23(4):292-9.

4. Key TJ, Appleby PN, Crowe FL, Bradbury KE, Schmidt JA, Travis RC. Cancer in British vegetarians: updated analyses of 4998 incident cancers in a cohort of 32,491 meat eaters, 8612 fish eaters, 18,298 vegetarians, and 2246 vegans. Am J Clin Nutr. 2014 Jun 4.

5. Tantamango-Bartley Y, Jaceldo-Siegl K, Fan J, Fraser G. Vegetarian diets and the incidence of cancer in a low-risk population. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2012 Nov 20.

6. Bradbury KE, Crowe FL, Appleby PN, Schmidt JA, Travis RC, Key TJ. Serum concentrations of cholesterol, apolipoprotein A-I and apolipoprotein B in a total of 1694 meat-eaters, fish-eaters, vegetarians and vegans. Eur J Clin Nutr. 2014 Feb;68(2):178-83.

7. Sabaté J, Ang Y. Nuts and health outcomes: new epidemiologic evidence. Am J Clin Nutr. 2009 May;89(5):1643S-1648S.

8. Dieting by DNA? Popular diets work best by genotype, research shows.

9. Jenkins DJ, Wong JM, Kendall CW, Esfahani A, Ng VW, Leong TC, Faulkner DA, Vidgen E, Greaves KA, Paul G, Singer W. The effect of a plant-based low-carbohydrate (“Eco-Atkins”) diet on body weight and blood lipid concentrations in hyperlipidemic subjects. Arch Intern Med. 2009 Jun 8;169(11):1046-54.

10. Is Umami a Secret Ingredient of Vegan Activism?

11. Thomas HV, Davey GK, Key TJ. Oestradiol and sex hormone-binding globulin in premenopausal and post-menopausal meat-eaters, vegetarians and vegans. Br J Cancer. 1999 Jul;80(9):1470-5.

12. Key TJ, Roe L, Thorogood M, Moore JW, Clark GM, Wang DY. Testosterone, sex hormone-binding globulin, calculated free testosterone, and oestradiol in male vegans and omnivores. Br J Nutr. 1990 Jul;64(1):111-9.

13. Goldin BR, Gorbach SL. Effect of diet on the plasma levels, metabolism, and excretion of estrogens. Am J Clin Nutr. 1988 Sep;48(3 Suppl):787-90. Review.

14. Vitamin B12: Are You Getting It?

15. Papier K, Appleby PN, Fensom GK, et al. Vegetarian diets and risk of hospitalisation or death with diabetes in British adults: results from the EPIC-Oxford study. Nutr Diabetes. 2019 Feb 25;9(1):7.